安達太良山 前編の日記から
安達太良山、2日目。
昨日までは少し暑いくらいだったんですが急に肌寒くなってきました。
夜半には雨も降っていたようで。
朝ごはんを食べ手早く荷物をまとめて出発。
残念ながら朝にお風呂は使えません。
出発の際、山小屋の小屋番の人から今日は風が強いので、沼尻方面に行くのはやめたらどうかと言われたんですが、
中ノ沢温泉に宿をとってるので予定通り沼尻方面を目指すことに。
稜線の風がやばいらしい。
くろがね小屋から昨日きた道を引き返して、牛ノ背まで登り返す感じ。
雨はパラつく程度だったんですが、あらかじめレインウェアとザックカバーは装着。
昨日も稜線はだいぶ風が強かったんですが、今日はその日ではなくガチで危険なレベルの強風。
雨も降り出して視界が悪く先が見通せないような状況に。
なんとかGPSを頼りに進む方向を見定めて、馬の背を見つけて進むも、両側が切れ落ちてる稜線を歩くのは、
こんな強風の日はやるべきではないなと。命を危険を感じるレベルでヤバかったです。
危険すぎて写真とってる余裕なかったんですが細くてザレてる稜線上の下り坂の道とか、
お尻ついて少しづつ移動しないと進めんかったよ。吹き飛ばされそうで…
なんとか危険地帯の馬の背を抜けて鉄山に。
この岩にも登れるっぽい(上の方に標識があるの見えた)んですが、
視界が悪すぎて、とっかかりが見当たらなかったのと、余裕もないのでスルー。
脇を巻いて、非難小屋に到達。トイレとか水場はないけどなかなか立派な非難小屋。
ドアになんか貼ってあるけど…ここもクマ出るんかーい。
沼尻方面に歩き始めるもなかなか降らずにずっと尾根道を進む感じ。
晴れていれば、良い景色の中、気持ちよくあるけたかもですが、いかんせん、何も見えぬ。
というか視界が悪いので、茂みにクマがいないかという恐怖にかられるハメに。
思い過ごしだと思うんだけど、なんかぐるるるって唸り声を聞いたような気もしてきて気が休まらない。
鳥の鳴き声…にしてはあんな鳴き声無いよなあ。
というかときどき見えるんだけど、ちょっと先がすげーキレ落ちてるんだよ!怖ええよ!
で、歩いてるとなんか奇妙なオブジェまで見えてくる…
どうも墜落した自衛隊機の慰霊塔だそうで。
墜落した飛行機のプロペラをぶっ刺すってどうなの…
一応、手を合わせて先に進む。
しばらく進むと「胎内岩」に差し掛かるんですが、ここが結構な難所。
折り重なった岩が道を塞いでるんですが、岩の下の穴を潜る必要がありまして。
ザックを背負ってると通れないので、岩の上に登って、ザックを先に落として、
それから穴をくぐるという方法を取りましたよ。無理してこんなとこで壁尻状態になったら普通に死ぬし。
というか、今日、他の登山者に誰一人行きあってないしね!
胎内岩を過ぎたあたりから本格的な降りが始まって一気に標高を下げていきます。
クマによる被害が出たのも胎内岩を過ぎたあたりなので速度を上げて一気に通り過ぎて、
硫黄川にさしかかると、荒涼とした景色が広がる地帯に。
ここに到達する沼の平というコースもあるんですが、火山ガスで死亡者が出た過去があり通行止禁止区域になっています。
死亡事故があったのもこんな視界不良のときで、窪地に入りこんでしまって…ということらしいので、ぞわぞわするものがあるシチュエーション。
谷間にある硫黄成分を含む水が流れる川沿いや川の中を歩いて、降っていく感じ。
谷の両側についた水の流れた跡を見るとあきらかに背丈より上なので、こんな天候の時は谷間を歩くのはぞっとしないですな。
暫く進んでいくと川にかかる人工物が見えてきて、川の色も青白い、くろがね小屋の温泉と同じような色に。
ここが、中ノ沢温泉の湯の花採種場ですな。思ってたより広大で、草津や那須温泉よりも大規模。
作業小屋らしきものの近くを通ったときになんか焦げ臭いな…と思ったら、なんか燃えてるぅぅぅぅ!?
一瞬、山火事かと思ったんですが、どうもゴミを燃やしてるっぽい?
ただ、茂みに燃え移ってるし、野焼きにしても周囲に火元の管理者も見当たらない…
作業小屋にいるのかと思って覗いて声かけたけど無人…ええ…どうなってんの…
水をかけて消すべきか迷ったんですが、とりあえず消防署に電話かけて湯の花採種場の管理事務所に確認してもらうように、
言ってみるかと、電波状態が悪くてネット検索ができないのでダメ元で119に電話したらこっちはつながったので「火事ですか救急ですか?」に、
「火事のほうなんですが、登山中でゴミの野焼きを見かけて」を言おうとした「火事のほう」のところで電波状態悪くなってきれやがんの!
架け直してもそれっきり一向につながらないので、とにかく谷間を抜けて電波拾えるとこまで行こうと、先に進むことに。
よく考えれば、対した火でもないので、水かけて火を消しておくべきだったんですが、そこまで気が回らず。
なんとか電波の入るとこまできて、消防と警察には事情は説明して、管理事務所に確認してみてくれないかと伝えたんですが、
現地まで消防が向かうということに…登山口までたどり着いたときにちょうど、警察と消防が到着したので、写真を見せて状況を説明したりで、
妙に時間を食ってしまった…通報したのが良かったのか悪かったのかはその後、特に連絡もないので不明。
状況的に、恐らく日常的にあの形でゴミを焼いてたんだろうとは警察の方は言ってましたが。
警察と消防に後を任せて下山を開始したのですが、ここからは車も通れる林道と道路をひたすら下るだけ。
1時間ほどで沼尻温泉にさしかかります。
地図を見ただけではわからなかったんですが、ここも温泉街だったんですな。
ただ、かつての、という感じでほとんどが廃業した温泉施設、営業してるのはこの「田村屋」さんだけなのかな?
外観は廃墟のようにも見えますが…日帰り温泉もやっている様子。
ただ、ここで汗を流しても目的地までは30分ほどまだかかるので先を急ぐことに。
途中見かけた、かつての日帰り温泉施設も閉館してボロボロに…
道路をひたすら歩いてついに中ノ沢温泉に到着!
12時過ぎに着けたので、TVで紹介されたこともあるらしい定食屋で焼肉丼などを。
名物はスタミナラーメンだそうなんですが、米が食いたくて…
チェックインするにはまだ時間が早いので、せっかくだから他の旅館の日帰り入浴を利用してみることに。
中ノ沢温泉で検索すると、筆頭で出てくる「西村屋」を利用してみることに。
内湯が2つと露天風呂があるんですが、それぞれ脱衣所が別なので、
すべて楽しもうと思ったらいちいち服を着て移動しないといけないのがちょっと難儀かな。
そんなワケで露店風呂だけ堪能。
先に、くろがね小屋の温泉を堪能してしまっただけに、インパクトは落ちますが、
ここも俺好みの硫黄泉のお湯で湯量も多くて最高。
いい時間になったので今日の宿、平澤屋旅館さんに移動。
1名からでも宿泊できるありがたい旅館。
お部屋には広縁もありますが窓を開けても裏の通りが見えるだけなのが残念ですが、まあゆっくりするにはいい感じ。
温泉は内湯と露店風呂がありますが、西村屋さんに比べると湯の花は少なめ。
但し書きによると頻繁に湯を入れ替えてるのでとかなんとか。匂いも控えめ。
露店風呂は混浴。入り口は男女分かれてますが中で繋がってる方式。
Webの写真で見て思ってたよりも小さめ。まあ十分な広さではありますが。洗い場はなし。
もし女の人が入ってたらどうしよう!…という心配は特にありません。
なぜならこの日、宿泊客は俺だけだから!!平日旅行してるとこういうパターン多いよね。
というか、このお風呂。後ろの道路から丸見えですな…いや角度的に覗けるような感じではないですが。
結構、自動車が通るので落ち着かないな!
ご飯は、いかにも旅館の食事という感じ。
ここもお米がとにかく美味い。おひつ全部食べちゃったよ…食いすぎて苦しくなったけど満足。
翌朝は、もう1件日帰り入浴を体験してから帰ろうか悩んだんですが、
昨日のお昼すぎから急激に気温が下がってきて、天気もよろしくなかったので9時のバスで帰ることに。
帰りは新幹線を使ったので2時間ちょい、お昼すぎには東京に戻ってきてました。新幹線最高。
安達太良山は天候さえよければ登りやすくて大変良い山でした。
行ってみた感じだと、岳温泉から登山口まで歩くこともできなくは無さそうなので、
バスの本数がある岳温泉までいって、歩いてロープウェイ駅へ、で、ロープウェイ使って上まで行き、
くろがね小屋で一泊、くろがね小屋からそのまま下山して、温泉で汗を流し、岳温泉まで行って、岳温泉で一泊、
って感じがベストかもしれん…くろがね小屋の建て替えが終わったらまた来てみたいなあ。
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